取材制限が映し出す議会の本性
先月末、東京新聞「こちら特報部」から取材の依頼があった。議員の仕事場である「議会棟」での取材制限につながる動きが全国で相次いでいるので、地方の政治家の取材を重ねてきた立場から意見を聞かせてほしいという趣旨だった。なかでも福岡県議会では 「原則として前日までに取材する議員の承認を得る」などといった取材に関する新ルール案が検討されていると聞いて、あり得ないと思ったので快諾した。取材を受けた翌日に掲載された記事によると、福岡県議会で突如浮上した新ルール案は次のようなものだった。
福岡県議会の新ルール案は、議会運営委員会の小委員会で議論する「たたき台」として事務局が作成。議員など取材相手からの原則前日までの承認だけでなく、議員グループごとの控室への入室は会派責任者から、議会棟の廊下などでの撮影、 録音は事務局総務課長から承諾、承認を得ておくことと記載。議員活動や職員の業務、県民の通行を妨げる行為はしないこと、とも明記した。
本来、説明する必要もないことだが、議員は市民が納めた税金から議員報酬を得ている。そんな公人中の公人が何を言っているのだろうと、あらかたの人が呆れたのではないだろうか。政治家が報道機関に対して、こうした不可解な難癖をつけてくる時というのは、得てして政治家側に不都合な事態が起きていて、報道対応に苦慮していることが多い。厳しい報道から自分の立場を守ろうと必死になった政治家が道理に合わないことを言い出し、力づくで報道を抑え込もうと考えるのは世の常だ。今に始まったことではない。
福岡県政の担当記者によると、今年、県議の海外視察を巡る支出の適正性や、県職員グループの会費による県議会議長らの政治資金パーティー券購入を問題視する報道で、テレビや新聞の記者が県議に約束なしで取材する例が続いていた。県政記者は「アポ(約束)を入れようとしても連絡が取れず、(議会棟に)来ていると分かった時点で話を聞くことは十分にある」と事情を説明する。
案の定、議員たちにとって不都合な事態が起きていた。福岡県議会では、高額で支出が不透明な海外視察が繰り返されていたほか、県職員でつくる互助会「部課長会」が議長らの政治資金パーティー券を組織的に購入していた問題が発覚していたのだ。当然、地元メディアと全国紙が大々的に報じていた。その延長線上に議会から出てきたのが、取材制限につながる新ルール案だったというわけだ。平常時にじっくりと腰を据えて議論するならまだしも、議会にとっての緊急時に突如持ち出された話だというのが、いかにもきな臭い。

福岡県議会の蔵内勇夫議長
議会は何から目を背けたのか
昨今はあたりまえがあたりまえに踏みにじられる社会になってきたので、ここで、あたりまえの話をあたりまえにしておこうと思う。