福岡県に必要な「ワンヘルス」を考える
なぜ「議会のドン」が必要とされるのか
さまざまな疑惑については、今後、独立した第三者委員会が調査することになる。私がより深刻だと思うのは、こうした事態を長い間許してきた福岡県政をとりまく“健康状態”だ。県庁と県議会、地元メディア。三者の関係性が正常でなかったからこそ、ここまでの問題になったのではないかと思う。
地方議会では、最大会派が単独で過半数を占めたり、第二会派と合わせて議席の大半を占めたりすることが少なくない。首長の提出議案に議会が恒常的に賛成する「オール与党体制」になれば、議会の勢力図が変わらない“凪の状態”が続くことになる。パワーバランスが固定化し、経験と人脈、情報を一手に握るベテラン議員に権力が集中しやすくなる。こうして「議会のドン」と呼ばれる存在が幅を利かせるようになる。
「ドン」はただ威張っているわけではない。最大会派をまとめ、他会派を懐柔し、執行部と水面下で話をつける。議員からすると、「ドン」に頼っておけば地元要望が通りやすく、物事がスムーズに進むので助かるのだ。提出議案を議会に承認してもらわなければならない首長と役場職員にとっても、議会対策が楽になる。「ドン」は、面倒な対立を避けながら物事を予定通り進めてくれる“便利な調整役”でもある。議員も首長も職員も、自分たちの地位や立場の安定につながることをわかっているからこそ、確信犯的に「ドン」を頼ってきたはずだ。 権力の一極集中が長期にわたり、気づけば周囲は過度な配慮や忖度から抜け出せなくなっていたのだろう。